他人の秘密をバラしたらどんな罪になる?
【法律歳時記】うっかり犯罪者にならないための法律学
ネットに犯罪歴が残るのは仕方ない?
犯罪歴などを公表されることが名誉棄損に当たるということでしたが、インターネットサイトなどで罪状や本名が記載されていることは多いと思います。これは名誉棄損に当たらないのでしょうか?
「先日、児童買春により逮捕され、罰金刑に処された男性が、インターネット検索サイトに対し、男性が児童売春により逮捕された記事等の表示を削除するように求めた事件がありました。最高裁は、事実を公表されない利益と情報を検索結果として提供する事情を比較して、事実を公表されない利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、情報の削除を求めることができると判断しています。
本件では、男性が児童買春をしたという事実がいまだ公共の利害に関する事項であることや、男性が居住する県の名称と男性の氏名を条件とした場合に検索結果の一部として出てくるだけであることから、事実を公表されない利益が優越することが明らかとは言えない(つまり、削除を認めない)との判断がなされています。
したがって、犯罪の内容が公共の利害との関係が薄く、事実を公表されない法的利益が優越することが明らかといえる場合も考えられるため、今後、犯罪歴の削除が認められる場合もあるでしょう」(岩沙弁護士)
たとえ名誉毀損にあたらないような表現であっても、他人の秘密は簡単には明かさない方が無難であると言えそうです。
【話を伺った方】
岩沙 好幸(いわさ よしゆき)さん
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物好きでフクロウを飼育中。
近著に『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
『弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ』も更新中。
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